CB1300 SUPER FOUR SP Final Edition
巨軀を駆り、雲仙を走った。
火山の裾野を縫うように続く道を、
エンジンの鼓動で押し上げていく。
硫黄の匂い、湧き立つ熱気。
地中の奥で、まだこの星が動いている。
その事実が、なぜか心を静かに震わせた。
バンクするたび、景色が生まれ変わる。
大地の呼吸に合わせるように、
身体が自然にリズムを刻んでいく。
思考がほどけ、意識だけが残る。
走るとは、生きなおすことかもしれない。
過去も未来もいったん手放し、
“いま”という瞬間の上に、自分を置き直す。

峠を下りきり、エンジンを止める。
湯けむりの向こうで、世界が静まる。
その沈黙の中で、もう一度、自分の鼓動を確かめた。
また走ろう。
火山の息吹を胸に。
この星と呼応しながら、生きていく。

