空と陸の間で
CB1300 SUPER FOUR SP Final Edition。
巨躯を駆り、鷹島の北端まで走った。
丘の上の公園で、不意に出会った鷹の像。
空に向けて翼を広げたその姿は、風を読むことを忘れていないようだった。
隣にバイクを停めたとき、ふとよぎった。
──空の王者と、陸の王者。
立つ場所は違えど、どこか似ていた。
空は飛ぶために、陸は走るために
あの像は飛ばない。
けれど、飛ぼうとした記憶がある。
このバイクもまた、走るために生まれた存在。
風を切り、音を纏い、地を滑るように進む。
どちらも、風の中に生きている。
そのことが、何よりも強く、自由だった。
王者の風格とはなにか
鷹が空を支配するのは、その眼差しと意志の強さ。
CB1300が道を征するのは、その安定感と鼓動の深さ。
速さや軽さとは違う、存在そのものの重み。
王者とは、そこにいるだけで風景が変わる存在のことなんだろう。
そう思えた。
一枚の写真に、交わらない空と地平を映す
シャッターを切った。
双方の王者は、ただ静かに並んでいた。
空を睨む鷹と、地を見据えるCB1300。
そのどちらもが、今にも動き出しそうな気配を残していた。
空と陸を、旅人がつなぐ
僕らはどちらでもない。
でも、空にも憧れ、地にも愛着を持っている。
だからこそ、旅をする。
風をあつめて、このバイクとともに、僕だけの道を行く。